買取成約事例(詳細版)

2024.06.26

買取成約事例(詳細版)

古本買取成約事例 沖縄関連書籍まとめて 約50冊 70,560円

沖縄の風土から沖縄生まれの脚本家の作品集まで

今回は見出しのような一括査定を承りました。

『沖縄植物野外活用図鑑』や『沖縄の釣り』『沖縄の昆虫類』など沖縄の豊かな自然を知ることのできそうな書籍から

『カラー 沖縄の歌と踊り』『琉球祖先宝鑑』『琉球の伝説集』『沖縄善行美談』など、沖縄の風俗や民話等に関連したものがずらっと並んでいます。

今回はこの中でも、沖縄出身の有名人に関連した書籍で高額査定となったであろうものを2点紹介いたします。

 

『比嘉春潮全集 全5巻揃』

まず、1点目はこちらの『比嘉春潮全集 全5巻揃』です。

比嘉春潮(ひが しゅんちょう:、1883年- 1977年)は沖縄史の研究者で社会運動家でもあった人物です。

沖縄県で生まれ長く地元で教職と新聞記者の職に就いていましたが、柳田國男との出会いから民俗学研究への造詣を深めていきました。

その後上京。在京にて研究と執筆活動を続けましたが、常に故郷沖縄への想いを胸に抱き続け、戦後は沖縄の本土復帰のために尽力をしました。

上に書いた豊富な人生経験から来るものなのでしょうか、彼の興味対象、研究範囲は非常に広範囲に及び、彼の死後、夫人から沖縄県立図書館に寄贈された彼の蔵書・資料ノート・草稿類から成る「比嘉春潮文庫」には歴史・文学・言語・民俗・芸能・産業経済・社会運動などの膨大な資料が含まれるそうです。

その彼の遺した文書のうち、書籍として発行された著書や論文、重要な日誌を収録した書籍が今回査定依頼に入っていた『比嘉春潮全集』です。

戦後すぐはアメリカの日本のはざま、その後においては本土と島のはざまに揺れ続けた沖縄。それを内と外から見つめた知識人の見識が詰まった著作となっていることでしょう。

 

『金城哲夫シナリオ選集』

2点目は『金城哲夫シナリオ選集』(写真中央)です。

金城哲夫(1938年 – 1976年)は出身自体は東京ではあるものの、中学卒業までを沖縄で過ごした人物です。上で紹介した比嘉春潮と同じく金城もその後上京し、ある有名作品の創作に携わります。

その作品とはあの「ウルトラマン」シリーズでした。

まだ大きなヒット作がなかった黎明期の円谷プロにおいて、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『快獣ブースカ』『ウルトラセブン』などの企画立案や脚本執筆を手掛けました。彼の仕事は作成チームメンバーの創作にも刺激を与え、シリーズ全体の高い完成度に大きく貢献したと評価されています。

ただ、特撮ドラマの視聴率が低迷すると、彼は円谷プロでの職を辞し沖縄に帰郷します。故郷でもラジオのパーソナリティや演劇の脚本・演出などの仕事を続けますが、ある時泥酔した状態で自宅2階から転落。そのまま37歳の激しく短い人生を終えました。

彼の執筆した脚本には彼の沖縄出自の影響がよく指摘されています。(差別を受ける怪獣の描写には本土と沖縄の人々の関係性が投影されているなど。)この見方には否定的な部分もあるようですが、彼の生まれた年から考えると彼は7歳のときに沖縄戦を経験したことになります。幼少期に目撃してしまった悲惨な光景が、怪獣に理不尽に破壊される、暴力に支配される映像に結びつき、そしてそれを無敵のヒーローがどこからともなくやってきて助けてくれるという希望を描く、というプロットに落とし込まれていたとしても意外ではない気がします。

まさにこの『金城哲夫シナリオ選集』の中にその痕跡を探してみるというのも1つの読み方でしょう。

 

スタッフN

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