買取成約事例（詳細版）

今回は見出しのような書籍の一括査定を承りました。査定申込の際に実際にお送りいただいた本棚のお写真1枚目がこちらです。

この中からいくつか気になったタイトルをみていきましょう。

『霊界物語』

下段にずらっと並んだ叢書があります。

こちらは明治期に興った新興宗教「大本（おおもと/おほもと）教」(ただし、正式名称には「教」がつかない)の開祖・出口なおの娘婿 出口王仁三郎 が口述筆記した物語であり、同宗教の根本教典の1つです。

そのオリジナルは1921年から1934年にかけて出版されたもので、主人公は古事記にも登場する素戔嗚尊(すさのおのみこと)です。

その点からも分かるように、この宗教の特徴をざっくりと述べるならば「神道系」の新興宗教と言えるようです。しかし、こちらの『霊界物語』では神界、霊界、現界を舞台に宇宙創造や未来予言など多岐にわたるテーマが扱われている上に、そのベースとなっている思想には日本神話のみならずキリスト教や仏教など様々な宗教のものが取り込まれているといいます。

元々は大正から昭和初期にかけ数回に分け全81巻83冊で発行されたのですが、その後全巻発禁処分を受けるなど曰く付きの書物でもありました。

そして、戦後になると複数の出版社から様々なバージョンの版が発行されました。

今回ご依頼いただいたのは、そんな戦後に発行された八幡書店バージョンの『霊界物語』です。

八幡書店からも実は2種類の『霊界物語』が出版されておりまして、

1. 1980年代後半から1990年代前半の厚表紙・箱入り「豪華愛蔵版」
2. 2004年の比較的安価な「新装版」

があります。今回はお写真を見る限り Ⅰ.「豪華愛蔵版」のようですね。

全巻揃いに加え状態も綺麗なようなので、こちらはきっと良い査定額がついたのではないかと思います。

『延年益寿秘経』

この『延年益寿秘経』は一枚目の写真の右下に写っている和本です。よく見えないかと思いますので、こちらを単体で撮っていただいたお写真を。

こちら、日本の伝統的製本方法・和本であるため、ものすごく古い書物のように見えるかも知れません。

「ん？でも、そのわりにヤケやイタミが少ないような？」と思った方、ご明察です。こちらは平成3年(1991年)に限定復刻された版だそうです。

復刻される前の版は松本道別が著したもので、昭和33年(1958年)にガリ版印刷で限定48部のみ刊行されたものです。こちらの版も大変希少なため、古本市場では高値で取引されています。

内容としては中国古代の仙人への憧れ(仙人思想)から生じた不老長寿実現のための健康維持法を体系的にまとめたもので、特に房中術(性生活を通じた健康法)や食事療法、呼吸法、体操などが中心的なテーマとなっています。

今回の平成3年版のもの、昭和33年版のもの、共に道教思想や健康長寿への関心が高い人々にとっては重要な資料であり、その歴史的価値から現代でも注目されています。

貴重なお品物を査定に出してくださり、ありがとうござました！

スタッフN

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