買取成約事例(詳細版)

2024.12.15

買取成約事例(詳細版)

古本買取成約事例 満鉄調査月報 63冊 45,500円

満鉄調査月報まとめて一括査定

今回は見出しのような一括査定を承りました。

南満州鉄道会社とは中国の南満州に設立された鉄道会社です。
通称満鉄。歴史の授業で耳にしたなーと思う方も多くいらっしゃると思います。
戦争により発足したこの鉄道は日露戦争により日本国がその権利を所有するものの、多くの戦時的・国政的利便さから重要視され、立地から主に中国、ロシアがその権利を欲しがりました。

激しい奪い合いの末、およそ40年後の第二次世界大戦の敗戦により日本の満州鉄道会社はその権利を失いました。

 

最初の総裁は後藤新平という人物ですが、植民地経営の能力に長けていた後藤は現地の社会調査を重視していたことから、経済や満州社会の調査を目的とする調査部を設立しました。

この調査部については様々な組織改編を経ており、時代によってもその正式な部署名、呼称が異なっています。また、本来の調査部とは異なる組織でありながら同じく満鉄内にあった調査機関 (東亜経済調査局、経済調査局など)も「調査部」と一括りに呼ばれていたりするので、ここでもやはり単に「調査部」と呼びたいと思います。

お写真の中に奥付頁を写したものが一枚ありました。取次販売所(左端)に上記の「東亜経済調査局」の名が読み取れます。

 

調査部が発足してすぐに調査書が作成されはじめましたが、こちらの調査書も『調査時報』『満蒙事情』などその名称を変えていきます。ご依頼品の『満鉄調査月報』は昭和6年から昭和19年(1931~1944)の間に発行されました。今回お出しいただいたのは1933年から1944年にかけてのものだそうなので、その長い歴史をカバーしていると言えますね!

南満州鉄道は大陸の植民地経営にとって経済的にも政治的にも非常に大きなウェイトを占めていたため、その基礎となる情報を収集する調査部には質、数ともに豊富な調査スタッフが配備されました。その中には日本国内では活路を見いだせなかった自由主義者やマルクス主義者も多く含まれていたそうです。

そのため、この調査書の内容には「大日本帝国万歳!」と囃し立てていた当時の国政的には、かなりスレスレの調査報告もあったようです。(中国に勝利するのは難しい。など)

満鉄調査部はしばしば当時の日本における最高のシンクタンクであるとも言われます。軍国主義のまさに象徴のような中にあって、意外な事実ですね。

そのようなエピソードもあってか満鉄調査部について後年まとめた資料が続々と発刊されました。1980年代にはこの『満鉄調査月報』全号を全48巻+別冊に復刻したものが不二出版から販売されましたが、その定価はなんと68万円(!)でした。

今回のお品はそのオリジナル版です。歴史に名を残す出来事の貴重な資料ですね。傷みも強いですが書籍の歴史的価値はかなり高いです!

 

スタッフA

231106-009449

安心して信頼できるお店へ買取依頼できるサービス「古本一括査定.com」