2024.06.10
買取成約事例(詳細版)
今回は見出しのような一括査定を承りました。
森鴎外は言わずと知れた明治・大正期日本の文豪です。また、現在の東京大学医学部を卒業、軍医として勤務した経緯もある人物です。
陸軍本部に入省した鴎外がドイツ陸軍の衛生制度を調べるため命じられたドイツ留学の経験をもとに『舞姫』を執筆したのはあまりにも有名なエピソードですね。
今回いただいた査定用のお写真で何より目を引くのが『鴎外全集』や『森鴎外歴史文學全集』『鴎外近代小説集』などの立派な鴎外関連の全集の数々です。
中でも岩波書店刊行の『鴎外全集』は全38巻揃いと圧巻です。(上に掲載しているものはお送りいただいた写真の一部です。)
しかしながら、実は昨今「〇〇全集」「〇〇百科事典」などといった重厚感のあるシリーズものの書籍の買い手は少なくなっている現状があります。
紙ではなくて電子書籍を選ぶ読者、自宅に立派な本を置くスペースがない方、インターネットで調べれば事足りてしまうので本自体を購入しない人が増えた…など理由は複数考えられます。
ただ、今回はそのような中でも比較的良い金額(定価と量から考えればそれでも以前よりはお安いと感じる方も多いかも知れませんが…)で買取が可能でした。
その理由は森鴎外に関連する書籍が豊富に揃えられていた、これに尽きます。
鴎外自身の作品のみではなく、吉野俊彦の「森鴎外評伝シリーズ」(一部)などの鴎外周辺の著作もずらっと揃えられています。
また、鴎外には直接関連のなさそうな
『中級講話 趣味のドイツ語』『ドイツ 文法 接続法の詳細』など、とにかくドイツに関連する書籍もちらほら。
先述の『舞姫』の例を見れば明らかなように、ドイツ留学の記憶が鴎外のその後の人生や作品に与えた影響は大きく、その痕跡は彼の作品のそこここに見られます。
その深奥部まで味わい尽くしたいとなると、こういった書籍で周辺知識まで研究したくなるのでしょう。わかります、その気持ち・・・!
古書店の店先でそういった関連しそうな書籍が一挙に並べられていたら、思わず手を伸ばしてしまいますよね。
そういった点も考慮して古書店様はオファーを入れるか考えています。参考になれば幸いです。
スタッフN
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