2024.05.13
買取成約事例(詳細版)
今回は見出しのような一括査定を承りました。
ご覧のように日本の昔ながらの製本方法で綴られた、いわゆる「和本」です。
上の写真の和本は『島津國史』。オリジナルが編纂されたのは享和2年。西暦ですと1802年のことです。
日本史好きな方なら「島津」といえば、鹿児島!とピンとこられますよね。そう、こちらの本は鹿児島藩(薩摩藩)主の島津重豪が藩校の教授であった山本正誼に編纂を命じ、のちの藩主島津斉宣に献上された薩摩・大隅・日向三国の歴史をまとめた歴史書になります。先行する膨大な史料や家系図などの記録に拠り編纂されたこちらの『島津国史』は非常に記述が正確で、信頼性の高い歴史資料として高く評価されています。
江戸時代に編纂されたオリジナルは32巻から構成されていたようですが、明治期に全10冊の復刊版(島津家臨時編輯所 編)が発行されています。お写真の中には1巻~10巻までが2冊ずつあるようですので、この復刻版全巻揃いが二組あった、ということでしょうか。貴重な史料を一気に二組の全巻揃いで出品いただき、ありがとうございます!
さて、お次の写真は『三国名勝圖會(さんごくめいしょうずえ)』です。
こちらも江戸時代後期に薩摩藩が編纂した薩摩・大隅と日向の一部を含む藩内の地誌や名所を記した文書です。上でご紹介した『島津國史』と同様、当時の様子を知るための貴重な資料として重用されています。
その特徴は各地の名所風景の挿絵が多いこと、寺社などについては同じくその外観の挿絵にプラスして由緒などが詳細に記されている点などにあります。
こちらは編纂された1843年当時には全60巻あったようですが、明治期に入ってから島津久光の校正を経て全20巻にまとめ直され、発行されています。お写真に写っているのはおそらく、その明治期の復刻版になるかと思われます。
ただ、お写真の中にあるのは15冊のみ。途中の数巻が欠けているようですが、もし、こちらが欠けることなく全巻が揃っている状態であれば、ぐっと評価額も上がったのではないかと思われます。
15冊揃っている状態でもすでに大変貴重な書籍ではありますが、途中に欠けている巻があることに気づかれましたら、念の為、査定への出し漏れがないかご確認いただけると良いかと思います。
すでに上記の『島津國史』、『三国名勝圖會』ともに大変古く、鹿児島の歴史・風土を知るための貴重な資料であるという点は共通しているのですが、今回査定ご依頼いただいた品にはほかにも薩摩藩や鹿児島ゆかりの本が含まれていました。
例えば、下の写真(上列右端)にある『二松庵詩鈔』の著者の一人は海軍軍人で政治家の樺山資紀ですが、彼は薩摩藩の出身です。同じく下列右の著者の『薩藩士風沿革』も鹿児島県教育会により編まれ明治期に発行された鹿児島県の歴史・文化・風土を知るための資料となっています。
すでに述べたように1つ1つが貴重な史料・資料であることに変わりはないのですが、似たテーマを持った本をまとめて査定に出していただくと古書店様の目にも留まりやすくなり、オファーが増える傾向にあるのでオススメです。
スタッフN
230819-008898
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