買取成約事例(詳細版)

2024.04.11

買取成約事例(詳細版)

古本買取成約事例 ビジネス書や文学・思想系雑誌など 43冊 17,000円

ビジネス書、映画関連書や『ユリイカ』『現代思想』などの文学や思想に関する雑誌を一括査定

今回は見出しのような一括査定を承りました。

まず目に入るのが、何冊かまとまっている雑誌『ユリイカ』と『現代思想』ですね。

共に青土社から発行されており、『ユリイカ』は主に詩と芸術を扱い、『現代思想』は思想と哲学を扱っています。

共に不定期に増刊号を発行しており、特集内容によってはその増刊号も良い価格で取引されています。

今回、中でも特に注目したのは『ユリイカ』の1996年11月の「特集=クィア・リーディング号」です。

“クィア”とは英語のスペルでは“queer”と綴ります。もともとは「奇妙な」「風変わりな」、あるいはもっとアグレッシブな文脈では「変態の」などの意味を持つ単語です。かつては男性同性愛者を指す侮蔑語であったという側面もありますが、20世紀後半からは当事者たち(男性の同性愛者に限らずホモセクシュアルやトランスジェンダーなどの性的マイノリティ)が敢えて自分たちのことを「クィア」と呼称したため、現在ではむしろ肯定的な意味で用いられているようです。

そういえば、1999年から2001年にかけて伏見 憲明により発行された「クイア・ジャパン」の第3号(『魅惑のブス』2000年)の表紙が私にとってのマツコ・デラックス初見だったように記憶しています。

 

・・・話を戻しましょう。

さて、この「クィア」に「リーディング=読む」がくっついたのが「クィア・リーディング」です。要するに、女性は男性を、男性は女性を愛するといったような異性愛にとらわれない、様々な性愛の在り方に注目して創作を読み解く手法を指します。

こういった視点を取り入れることで今までヘテロセクシュアル的にしか読み取れなかった文学作品に別の奥行きが出るかも知れません。面白いですね。

 

こちら、当事者たちによる肯定的「クィア」呼称は1980年代の後半にはアメリカで始まり、日本でも上述のように2000年に浸透してきていた言葉であったことを考えれば、1996年にすでに特集を組んでいる『ユリイカ』編集部の先見の明は流石としか言いようがありません。

しかし、現在は2024年。すでに目新しい概念でもなんでもない。・・・はずなのですが、Google先生の窓でこの単語を検索してみれば、「クィア・リーディングとはなんぞ?」を紹介するごく最近のブログ記事や、関連した論文などが幾本もヒットします。

LGBTQ(または、LGBTQIAなどなど)という用語自体はまだ新しさを保っている感がありますが、その対象となっている人々は結局のところずっと昔から存在していて、認知を促す言葉がコロコロと変わっているに過ぎないのかなという印象を持ちますね。それだけ、日本に根ざした「かくあるべき」といった性やジェンダーの意識というのは変わらないということをも物語っているように感じます。

 

スタッフN

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