2021.07.27
古書店向けお役立ち情報
古書店を運営する方や個人で古書の売買をする方に有益な情報をお届けする「古書店消息」――。第4回目は、宅配買取のやり方と注意点についてお伝えします。
古書店がお客さんから古書を買い取るルートは主に3つあります。古書店員がお客さんのもとへ出向く出張買取、お客さんが実店舗などに本を持ち込む店頭買取、そしてお客さんから本を送ってもらう宅配買取です。
周りの古本屋仲間に話を聞くと、対面のやり取りが必要な出張買取と店頭買取は、コロナの影響で以前に比べて件数が減ってきているようです。また今後、コロナ禍の動向いかんによって実店舗の営業が難しくなる可能性もあります。
そこで今回は、非対面で本の買取ができる宅配買取のやり方や注意すべき点についてお伝えできたらと思います。
宅配買取に関する懸念点としてよく耳にするのが〝送料〟の問題です。
おそらく宅配買取をやっている古書店の多くが、一定の冊数を超える場合に送料を自己負担していると思います。はたしてそれで割に合うのでしょうか。
送料については、宅配買取と出張買取、それぞれにかかる費用を比較するとわかりやすいかと思います。
仮に東京で営業する古書店が神奈川に住むお客さんから段ボール5箱分の本を買い取るとしましょう。宅配買取の場合、ゆうパックを使うと、100サイズの段ボール5箱でおよそ6,500円になります。
では、出張買取の場合はどうでしょうか。段ボール5箱分の本を運ぶためにミニバンサイズの車で向かうとして、まず燃料費がかかります。片道25キロくらいの道のりでミニバンの燃費が7km/L、ガソリン代が140円/Lだとすると、往復で1,000円くらいになります。
また、事前の準備や往復の移動、現場での作業などにかかる時間は、少なく見積もっても3時間。もし1人で出張買取に行くとしても、時給1,000円で計算すると3,000円ほどの費用が発生していることになります。人数が増えたり作業時間が長くなったりすれば、当然その分だけ負担は大きくなります。
出張買取は宅配買取よりも拘束時間が長くなるのに加えて、お客さんとのスケジュール調整も必要になります。1人で営業している古書店主が営業時間内に実店舗を閉めて買い取りに行くとなった際には、その分の損失も考慮しなければなりません。
こうして宅配買取と出張買取を比べてみると、前者で発生する費用が後者より飛び抜けて大きいとは言えないと思います。
それでは、具体的に宅配買取の手順を大きく3つに分けて、それぞれの注意点を見ていきましょう。
電話やメールで宅配買取の申し込みを受け付けます。取引をよりスムーズに行うには、顧客情報の管理が重要です。特に初めて依頼のあったお客さんに関しては、その後リピーターになる可能性もあります。氏名や住所だけでなく、実際にどういった本が送られてきたのかも含めて、Excelなどで記録するようにしましょう。そうしておけば、2回目以降に買取の依頼があったときに以前のデータと照らし合わせることができます。
お客さんと非対面でやり取りする宅配買取で特に重要なのは、依頼のあった段階で先方の情報を受け取るだけではなく、店側からも必要な情報を伝え、お互いの認識を合わせておくことです。たとえば、買取できないタイプの本はあるのか、また買取が成立しなかった場合に本の返送料をどちらが負担するのかなど、互いの損得に関わる条件をお客さんに明示しておけば、ある程度トラブルは事前に回避できます。
古書を含む古物を買い取る際には、お客さんの「本人確認」が必要になります。これは盗品の流通を防ぐために法律で明確に義務付けられていることなので、無視できません。
本人確認のやり方は、対面と非対面で変わってきます。お客さんと直接顔を合わせてやり取りする出張買取や店頭買取では、運転免許証などの本人確認証を提示してもらうか、目の前で氏名や住所などを記入してもらうので十分なのですが、お客さんと顔を合わせない宅配買取の場合には、相手の提示した氏名や住所が真正なものであるかどうかまで確認しなければなりません。
非対面で本人確認をやる方法は、複数あります。古書店でよく行われているのは、本人確認証のコピーを送ってもらったうえで、本人限定受取郵便などを相手に送付して、その到達を確かめるやり方です。そのほかにもさまざま選択肢はあるので、たとえば警視庁のサイト(https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/hitaimen.html)などを参考にしながら、それぞれのお店にあった方法を見つけていただけたらと思います。
本が届いたら、査定します。査定の手順そのものは出張買取と同じなのですが、査定金額の伝え方には少し注意が必要になります。
大量の本を査定する場合には1冊ごとの買い値ではなく、たとえば「100冊で1万円になりました」というように、査定金額をまとめて伝えるのが一般的な古書店のやり方だと思います。出張買取ではそれでも問題ありません。というのも、お客さんが気になった際にはその場で「この本はいくらだったの?」と気軽に聞けるからです。
そういった査定金額に関するリアルタイムのやり取りができない宅配買取の場合は、事前にお客さんから個別に買取金額を知りたい本がないか聞き出して、それだけ別途明細を提示するというやり方もあります。
非対面でやり取りする宅配買取でカギとなるのは、お客さんにいかに信頼してもらえるかです。そのためには、お店のウェブサイトを充実させることも重要でしょう。そうした〝信頼〟につながればと、「古本一括査定.com」にはそれぞれのお店の紹介やお客さんからの評価を載せています。宅配買取に力を入れたいという古書店に、有効に活用してもらえたらと思っています。
安心して信頼できるお店へ買取依頼できるサービス「古本一括査定.com」